2006年8月14日月曜日

無に神

曽我浦で事故が起きた。隠す必要もないし記憶に残したいので書き留めておこうと思う。



ライフガードの使命とは「事故を未然に防ぐ」ことで、決して自分の身を挺して人名を守ることが目的ではない。溺れる人を救助することや行方不明になっている溺水者を引き上げてくることなどは、相当な体力と精神力が必要であるからだし、実際の事故は突然で、目の前で発生した時に100%救助できる人間など存在しないからだ。訓練していないものが無理をすれば自分が死ぬ可能性だってある。



とはいっても万が一事故が起きた時、事故を拡大させないためのファーストコンタクトを行うのは我々ライフガードである。だからその時指をくわえているだけでは一生後悔してしまうし再びライフガードの業務に就こうとなんて思えるはずもない。



忘れもしない事故がある。ダイビングの事故で捜索に入ることになり、水深20mのところで仰向けに沈んでいる溺水者を発見し引き上げCPRを行ったが助けることができなかった。その時の自分に出来る限りのレスキューを行ったつもりだが、結果助けられなかったことの後悔が頭に残り、こうすればもしかしたら、あそこでこうだったら・・・など頭の中で様々なことがめぐり、海を見ることもダイビングの器材を見ることもトラウマになり、何もかもが嫌になってしまった。



それから約10年経ち、自分の会社が管理するリゾート内で初めての事故。トラウマは海に対する恐怖を植えつけたが、今回は助けることが出来なかったどうしようもない悔しさが頭に残る。自分のトレーニングが足りないのか、事故が起こさないための規制や制限が足りないのか・・・事故を起こさないためには海に入れないことしかないのか・・・何を努力したらいいのか????レスキューチームワークが不足しているのか??!!



それに15才の少年がなんで海で死ななきゃいけなかったんだろう、海の神様は残酷だと思った。ここまでくると神まで疑いたくなる。でも何か答えがあるんだよ、きっと。



無に神。



この事故を一生忘れず、二度と同じような事故を起こさないために精進し続けることを誓い彼の冥福を祈りたい。



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