2018年4月23日月曜日

スポーツと性差

格闘技を中心とした多くのスポーツが、体重別の階級制度を取っている。
柔道やレスリング、ボクシングなどはよく耳にする競技だが、日本伝統格闘技のスピリットにある「柔よく剛を制す」ことから、当初階級制度の導入には批判が多くあったそうである。


しかし、近代スポーツにおいては、その技術向上もさることながら筋力の向上も昔とは格段と高くなり、少しの体重差が、競技者として命取りになってしまうこともあることから、ほとんどの格闘技で階級制度が設けられている。

素人ならともかく、鍛え抜かれたトップアスリートのレベルの体感衝撃は、体重に比例する部分が多く、技術だけでは補えないということだ。



また、体重別同様、格闘技において男女が公開して戦うことも一般的には行われていない。
性差には体重だけでなく上半身を中心とした筋力差があり、単に体重別だけで区分すると公平とは言えない力差が生まれるからである。



たとえ女性の脂肪率を下げて上半身の筋力を増やせたとしても、今度は女性の性機能に異常をきたしてしまう可能性が高くなってしまう。



それではスポーツのスピリットに反している。
これが男女を区分する理由。


女性がノーギアでボクシングを行うことに対し「女性なのに」という表現や、シンクロナイズドスイミングに男性が進出したことに対して「美しくない」という意見もあるが、これらは性差ではなくジェンダーとして議論すべきことなので、ここでは述べない。



しかし、男女ともに問題となっているのは減量である。
「昔からやってきた」「オレがやってきたからお前も」といった性差や個人差を考慮しない指導者が、選手生命を短く、時にはつぶしてしまうことも珍しくない。


たとえば「水抜き」
水抜きは体内の水分を人為的に脱水させる方法で、ボクシングやウエイトリフティングなどの選手が昔から用いてきた減量方法であるが、未だに指導者の感覚で調整が行われている。
日ごろから「水を飲むな!」「根性!」なんて言ってきた時代の選手と、コンビニで何時でも好きな物が買え、エアコンとともに生活している現代の選手では構造自体が違うといってもいい。

だから慣れない脱水はやり方次第では、命にも関わるのだ。


昨今あった、格闘技の国際選手が減量に失敗し失格になってしまったケースも、選手の個人差やコンディションを専門家がついて計画実施すれば、最高のパフォーマンスで戦えたかも知れない。






また、女性の競技においても見た目の美しさから太らないようにする競技もあれば、ある程度脂肪がついていた方がパフォーマンスが大きく見える競技もある。

このような体重制限は摂食障害という心理的な障害を被ることが多く、専門家の正しいサポートの下、実施されなくてはならない。

特に成長期における女性の身体は慎重に扱うべきで、無理な食事制限や根性論だけのダイエットは心身にストレスをかけ、一生かかえなくてはいけないような障害を残すことにつながりかねないので注意が必要だ。


そこで活躍するのは栄養の専門家。
しかし、わが国における「栄養士」は一般の栄養に関する専門家であって、アスリートの栄養と心理は別の知識が必要である。


日本スポーツ協会及び日本スポーツ栄養士協会では、スポーツ栄養士という、アスリートの栄養に関する知識を身につけた栄養士の養成を行っている。


今後の広がりを待ちたい。



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