ガード19日目。
曽我浦に巨大なウミガメがうちあがった。
推定50年以上の老衰カメ。
ウミガメの習性として、ここで生まれたカメなのであろう。
昔からカメは海の使者として崇められていた。
特に老体のカメには海の神が宿り、海の仕事をするものに幸福をもたらすと言う。
大陸の国では食糧としての価値しかないが、海を航行してきた民族は皆、カメを神と呼ぶ。
日本の宗教上、死んだものを神と崇める風習があるから、このカメも死んで神となるのであろう。
曽我浦には毎年カメが打ちあがる。多い時には数体。
ガキの頃から「海ガメは神」と伝えられてきたオレにとって、引き上げて祭る行動は自然だ。
しかし、生物の死とはいかようにも悲しいものよ。
夕方久し振りに雨が降った。
鎮座するカメを海に戻そうとする強い波、50年以上海を泳ぎ続けた体を癒すように降る雨。
自然の繋がりとはそういうもの。
またひとつ海の神から力をもらった。
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