オレ様はスクーバインストラクター。
18才の学生時代からこの業界でアルバイトをはじめ、20才でインストラクター試験に合格したので、デビューしてから今年で16年目。
今まで様々な人たちに指導して頂いてここまで育ちました。まだまだ未熟な指導者で、迷惑をかけることが多々ありますが、日々トレーニングを欠かさず、事故を起こさないように心がけているつもりです。
今日、熱海市ダイビング協議会という熱海市のダイビング事業者の集まりがありました。この会はNPO静岡県ダイバーズ協議会の熱海支部として活動する任意団体で、その定期会合です。
この会の趣旨は、熱海でダイビングを楽しむお客様が、より安全に安心して楽しんで頂けるように事業者のサービスや安全意識を高め、行く末はこの業界自体の発展と社会貢献につながること・・・だと思っていました。
が・・・先月に2件、市内で残念なダイビング事故がありました。その原因は様々ですが、インストラクターがその管理を行っていました。
このような事故があった場合、我々は事故の原因をディスカッションし、以後このような事故が起きないように対策を講じるようにしています。自分の立場に置き換えて、自分だったどうするか、どうすれば起きなかったのか模索しなくてはいけないと思うからです。もちろん事故があってから考えているのではなく、基礎的な事故防止策というのはインストラクターであれば必ず教育されているのですが、呼吸のできない海中でのインストラクションですから、学習と経験の積み重ねがなければ事故は無くならないのです。
しかし・・・ダイビング事故が起きると必ずネット上や、メーリングリストなどで「どこの店?!インストラクター誰?!」から始まり、中傷の嵐が吹き荒れます。しかも、酷いのはこれらのコメントをしているほとんどがダイビングインストラクターであることです。
私たちインストラクターは、海を愛しダイビングを愛し、訪れた人々に海中の素晴らしい世界を提供する素晴らしい仕事をしています。しかし、その未知の世界に人々を導くには非常に高いリスクを負います。我々はそれらを理解し、それにも変えがたいやりがいと魅力を感じているから続けているのです。
事故の内容やその対応によっては、誠意のなさや管理義務の違反が見られる場合もあります。例えば資格を持っていないインストラクターに指導をさせて事故を起こしたり、自分勝手な行動をしてお客を見失ったりしたものは、自覚が足りないと思われても損害賠償を起こされても仕方がないことです。どうしようもないインストラクターは数多く存在しますが、それでも私たちの業界で起きていることなので他人事にしてはいけません。
今回事故を起こしたインストラクターの一人は若い人で、これからが期待される有望な人材です。我々は、事故を起こしたからといって業界でバッシングをし、これらの人材を潰してしまっていいのでしょうか。しかも、無記名やネット上の卑怯な手段で。
10年前に千葉でダイビング事故の捜索で、初めて人を引上げた時、自分の仕事のリスクと恐怖に苦しみました。それから何度も人命の境目に立会う度、この仕事の孤独を感じたものです。
そして、昨年の暮れに事故を起こし、お客様に怖い思いをさせてしまいました。
今まで1回も事故を起こしたことはありませんでしたが、その責任とリスクを考えた時、もうこの仕事を続けていけないと思いました。
海を見るのも器材を見るのもいやになり、向上意欲すら無くなりました。こんなダメなインストラクターが存在してはいけないとまで思いました。
しかし、そのどうしようもない自分を再び引上げてくれた人達がいました。
やはり同じような経験をしてきた3名の先輩インストラクターです。
その人達は自分の経験と乗り越えたきっかけを話し、自分に心を置き換えて話してくれました。そして、3人とも最後に「辞めてはいけない」というのです。辞めることでは超えることができないというのです。壁に当たったら基礎を繰り返すこと、続けることで信用を取り戻せと言われました。
今回私が研修を受けたものその一つで、3人のうちの1人はその会社の社長でした。
今回事故を起こしたお客様とインストラクターを我々は救い、教育し、続けさせなくてはいけない。そうしなければ、この業界の信用を取り戻すことは出来ず衰退していくことでしょう。
自分のことを棚にあげて!と言われるかもしれませんが、もしそのインストラクターがこのブログを読んでくれたら嬉しい。そして必ず復活して欲しいと思います。
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一度は海に潜ることに恐怖を感じた俺ですが(オレ様)のお陰でまた海の中へ戻ることが出来やした。本当にありがとう御座いやした m(__)m
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いやいや恥ずかしい。
でもよかった。
海は怖い・・・だから海に好かれるよう謙虚に接し努力することを忘れない。
そうすればこんなに素晴らしいスポーツはないね。