2008年2月28日木曜日

今日は初島へトレッキングの仕事へ行きました。



今シーズン最高の陽気だったのではないでしょうか。島の中を暖かい風が抜けるような感じで終始「気持ちイイぃ~」の連発でしたね。



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昨日、髪の毛を切ってきたのですが、そこでちょっと残念なできごとがありました。



熱海に来て10年来のお付き合いになる床屋さんなのですが、理髪も終盤にかかったころ、店主の女性(いけださん)がボソッと



「やしろさん、あのね、うち明日で終わりなのよ」



「は?終わりってなに?!」



「お店閉めることになって、実は今月いっぱいなのよ。」



「え~~~~????!!!!」



近年1,000円カットなどの影響で顧客が減り、採算が取れなくなっていたとのこと。いけださんは正直年配なので、今後のことを考えると潮時かな・・・と。



10年前うちの会社が創業したとき、同じビルの2F(うちは1F)にある床屋さんで、人の好さと素晴らしい技術に惚れてお願いしていたのです。



たまたま、髪を切っている最中、TVで廃業する歯医者さんが増えているという特集をやっていたあとだったので、とても寂しく思いました。



技術や伝統よりも安さやスピードを要求する効率の時代。



こういった職人が廃業せざるを得ないのは、これからの時代にとって良い方向ではないと思いました。



救われたのはいけださんが



「ボロボロになってから廃業したらこれからの人生楽しめないでしょう?だからセカンドステージに入るいい潮時なのよ。」



と人生の波を前向きに考えていたこと。



でも



「求人はたくさんあるのよ、でもね、この仕事に誇りをもってやってきている人間として、人の髪を切ることだけをする仕事はできない。だから廃業を決めたの」



という言葉には技術に誇りを持ち、こだわりを押し通した結果が見えた。



現代の子供たちが「働くことへの執着心がない」と言われますが、これも「効率の影響」だと思います。



昭和の初期と現代では、13人力の効率化がはかられているそうです。どういう意味かというと、家電や流通の発展により、昭和初期13人分の仕事量が1人でできるようになったということです。



つまり家庭を守ってきた主婦の仕事が効率化し、その労働源であった子どもたちの仕事がなくなって子供たちが「働く」という経験をしないで大人になっているということです。



親は仕事をしているけど子供は遊んでいる。親の仕事を手伝わないからコミュニケーションが足りなくなる、子供を理解できなくなる、子供が孤立する、居場所がなくなる、大人の世界へ子供が流出する・・・。



効率だけが発展に大切なことだとは思えないですね。



昨日も法務局にいって会社の謄本を取ってきたのですが、窓口で



「謄本はインターネットで申請と発行ができますので、窓口に来なくても会社でできるようになりました。」



と言われました。どうやら印鑑証明も申請すると会社に郵送で届くシステムがあるそうです。



世界中のデータをネットで検索できる現代、こういった商標や証明書の発行事務こそ効率化し税金の使途を別の形へ持っていくことの方がよっぽど必要なのだと思いました。



日本が守らなければいけないのは「匠の技」



一朝一夕では成しえない技術を守らなければ、グローバルレベルで競争するステージから脱落することは目に見えているのに。



何か間違っているように思えるなぁ。





2 件のコメント:

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    そうでしたか・・・・。池田さんお辞めになるのですね。残念です。私も中学、高校時代は母の妹(叔母)の同級生ということもあり池田さんにお世話になっていました。時代の流れとはいえ悲しい現実ですね。私の母も小さな喫茶店をコンビニやファミレスなどにおされ、売上も少しずつ減っておりましたが30年経営していました。昨年母は体調を悪くし廃業を考えていました。30年間、人に使われたこともなくコーヒーとランチをだしてお客様の笑顔を楽しみに生きていた彼女もやはり天職だったのだと思いました。
    そのまま廃業は可哀想だと思い、規模をさらに小さくしてもその生き方を無理なく続けさせてあげたいと思い、自宅に小さなカフェを作ってあげました。
    この時代に大金をかけ、採算は取れないことは覚悟しなければならなく私としてもかなりの賭けでしたが、親孝行は今しかできないなと思い実行しました。今は母も生き生きと新たな人生を過ごしているように思います。
    私の周りにも定年をまじかにリストラや転職といったことに直面してる方を多く拝見します。仕事にポリシーと人生をかけていてもいつかやってくる現実なのですね。もちろん私もその時がやってくるかも知れません。
    明日死んでも満足といった生き方をしたいと日々制作や活動に全力で生きたいです。

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    コメントありがとうございます。
    やっぱり。あれだけの人となると、多くの市民とつながっているのでしょう。
    職人には、後継者や採算という計算がいつも付きまとう。それが現実ですね。
    職人は、自分自身が商品であるという厳しい現実も避けては通れません。いつもその覚悟、最後まで足掻き続ける忍耐は鍛えておかないと・・・ですね。

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